いつか 平和になり 剣の錆びる日がきたら
太鼓をうちならして 祝おう
いつか 平和になり、弓矢を折る日がきたら
鎧に白い花を 飾ろう
この歌は、舞台で何度も歌われ、この歌で、物語の最後は締めくくられた。
鶴姫伝説の主題、またテーマは、ここにあった。
鶴姫伝説は、感動のミュージカルだった。
今朝は迷ったが、最後は列車でも行くと決めた。
高速が、50㌔規制だが通っていた。 11時に出発。
みぞれが降っていたが、大丈夫。(携帯で撮影)
昨日・今日と、南周りで200㌔以上走った。
1時頃、坊っちゃん劇場に着いた。 ※ 高速は風が強かったので、途中で下りた。
開園は、2時。 S席の一番後ろを予約してあった。
物語は、そこに住む人たちが昔を振り返り、瀬戸内の海を讃える所から始まった。
最初の関心は、物語の主題だった。 わらび座だから、おおよその見当はつく。(価値のあるものにするから)
平和か庶民の幸せか、その辺りだ。 それは、早い時間に前者だと見えてきた。(両方でもあるが)
鶴姫は、大山祇(ずみ)神社の大宮司の娘。 ※ 鶴姫、大山祇神社、歴史的史実については、このブログに。
父親が亡くなった晩、鶴姫の前に龍神が現れ、こう言った。 ※ 龍神は大山祇神社の守護神。
おまえは、龍神の申し子だ。 特別な星のもとに生まれた。
海は、誰のものでもない。 いつか自分の使命を知る時がくる。 海の平和を守りぬけ。
そして、このことは、誰にも話すなと。
鶴姫は、幼馴染のカモメ(女)にだけは、話していた。
お姫様だから、大事に育てられた。
でも、自分は籠の鳥ではないと、自由に伸び伸びと生き、育った。
美しさだけでなく、剣では男に負けない強さも、身に付けていた。
月日は経っていた。
鶴姫は、クロタカという武将に出会う。 ※ 歴史上は、越智安成。
お互い心が乱れた。 命をかけて好きになっていく。
物語の間に、歌と踊りが随所に出てきた。
この話の脚本を書いた高橋知伽江と言う人は、この時代が、また、足利幕府が庶民にとってどうだったのかを、はっきりと語らせていた。
周防の大内義隆が攻めてきた。 ※周防は、今の山口県の瀬戸内側。
物語の舞台となる、大山祇神社のある大三島は、芸予諸島にある。
この辺りは、島がたくさんあるため、瀬戸内の交通の要衝となっていた。
利権の争いで、戦が絶えなかった。
次兄の安房が三島水軍の陣代(統括者)として、他と連合して大内氏を迎撃した。
しかし、安房はその戦いで討死してしまった。
後を継いだのが、17歳の鶴姫だった。
鶴姫には、鎧が用意されていた。 父の遺言で、上の兄が作った。
それは、下の鎧。
※ この鎧が、大山祇神社にある。
鶴姫は、龍神から、瀬戸内の平和を守ることを託されていた。
兄は討死し、その憎しみは鶴姫にだってあった。
しかし、鶴姫は戦のもう一つの顔を知っていた。 こう言う。
みんな苦しむ。 海は、人より先にあった。
戦の勝ち負けより、もっと大事なものがあるはず、と。
また、沈む夕陽に流した涙をぬぐい、海に沈めて、花をさがしに行こう、と。
そして、最初の歌を歌った。
いつか 平和になり 剣の錆びる日がきたら
太鼓をうちならして 祝おう
いつか 平和になり、弓矢を折る日がきたら
鎧に白い花を 飾ろう
最後に、こう決意する。
憎しみの刃(やいば)に、憎しみの刃を振りかざしてはならぬ。
他の手立てがあるはずだ、と。
これから頼りになるのはクロタカだ。
鶴姫は、そなたがいてくれて良かったと言う。
これを聞いて、クロタカの心の中のうず潮は、抑えることの出来ないものになっていった。
幼馴染のカモメが、急に遊郭に行くことになった。
父が戦で死んで、下の子の面倒を見なければならない。
カモメは鶴姫に言った。
心の蓋(ふた)を取りなされ。 別れは、いつ来るか分からないって。
※ この場面は長く、突然遊郭の話だ。 何気なく、このような場面を作ることはない。
三浦綾子の泥流地帯でも、同じ遊郭に行く話があった。
話の最後で、物語の展開に大きな影響を与えた。
また、これからの話の流れを予感させる、「しかけ」にも感じた。
泥流地帯と、紋別の劇団海鳴りの芝居を思い出して見ていた。 ※ 海鳴りのはここに。
鶴姫は、大内義隆と和睦を考えた。
憎しみの刃に、憎しみの刃を振りかざしてはならぬ、と。
和睦のための使いは、自分がすると、クロタカは言った。
また、クロタカは、こんなことを言ってしまった。
全てを敵にまわしても、そなたの味方をすると。
鶴姫も言った。 うまくいったら褒美をつかわすと。
それは、自分との祝言だった。 ついに言った。
そして、二人は、息が止まるように抱き合った。
これからの幸せを、見つめていた。
見ている方は、幸せになってもらいたいと思う。
でも、ダメなんだな。 この流れは。
※ 泥流地帯で、大正15年に十勝岳が爆発する前日、ある家庭の兄弟は楽しすぎた。 三浦綾子は、そう描いた。
あれと同じだと思った。 ※ もしよかったら、ここに。
クロタカは、和睦の文を持って大内義隆の所へ行った。
でも、その場で切られてしまった。
何も知らない鶴姫は、母親が自分の着たという打ちかけを、勧められて着た。
クロタカが心配で、喜ぶことはできなかった。
それでも、羽織った手を一度広げた。
美しかった。 タンチョウが羽を広げた白さだった。
鶴姫は、クロタカが切られたことを聞いた。 息を引き取る前に、鶴姫の名前を呼んだことも。
憎しみの連鎖を断ち切るためにそうしたのに、なぜそれを奪うと、龍神に叫ぶ。
龍神は応えない。
そして、自分が殺したと思った。
鶴姫は、ついに鎧を着た。
大三島を、家族を、そして仲間を守るために戦うと言った。
私はここで、この先の展開が分からなかった。
後で、なるほどと思った。
遊郭に行ったカモメは、大内義隆の所に出入りしていた。
鶴姫にカモメからの密書が届いた。
大内軍は、みんな戦勝の祝いで酒を飲んでいるという。
だから、船は空っぽだと。
鶴姫は、その船を焼き払うことを考えた。 人は殺さないで。
海よ、力を授けたまえと歌った。
作戦は、成功した。
鶴姫は大三島を守った。
予定していた祝言の日が来た。 でも、一人ぼっちだ。
鶴姫は、大三島を守ったが、海の平和を取り戻せたとは思えなかった。
龍神は言った。
鶴姫は、高い山に登ろうとしている。
そこに行こうとした一歩は、決して無駄にはならない、と。
未来を信じ、けなげな愚かな人間を信じ、願いを明日につなごう。
平和の祈りは、永久に、と鶴姫は歌った。
その後の場面は、舞台に鶴姫の鎧がぽつんとあった。 鶴姫がどうなったかを暗示していた。
海から、鶴姫とクロタカが現れた。
二人で、一粒の種を育てようって歌った。
最後の場面は、鶴姫の鎧に、白い花を飾った。
平和への一歩を鶴姫が築いたから。(なくなったからかな、とも)
いつか 平和になり 剣の錆びる日がきたら
太鼓をうちならして 祝おう
いつか 平和になり、弓矢を折る日がきたら
鎧に白い花を 飾ろう
最初の、この歌を歌って、鶴姫伝説は終わった。
いい舞台だった。 久しぶりの感動だった。
さすが、わらび座だと思った。 裏切られることがない。
※ 舞台の写真は撮影できないので、ホールにあった物を撮影。 (確認して)
舞台の後、出演者を撮影できた。 下に。 (全員ではないが)
鶴姫役の、碓井(うすい)涼子さん。
ヘイリーとは違う魅力の、天使の歌声でした。 演技のすべてで、輝いていましたよ。
書いていただいた、サイン。 つるひめ 涼子 USUI と読めます。
クロタカ役の、神敏将さん。これだけ二枚目で腕が立ったら、鶴姫は当然惚れる。ご活躍を。
カモメ役の、小関梓紀さん。 鶴姫を助けてくれてありがとう。
撮影させていただけた、みなさんです。 左上の大内義隆役の中山城治さんは、おどけ役がぴったり。よかった。
いい舞台を見ました。 もう一度見たいと思いました。
今、多くの場所で起きている戦いは、憎しみの連鎖によっても、終わらすことが出来ないでいる。
脚本を書いた高橋知伽江さんの、発想の原点は、そこにあるように感じました。
世界中が、等しく平和になることを願って。
※ 今日の記事は、暗闇でのメモと記憶を元に書きました。見ないで書いても読めるもんです。初めて。
【停泊場所】 坊っちゃん劇場のそば。 ここです。
【明日の予定】 松山です。
【今日の歌】 鶴姫伝説(YouTube)
砂の祈り(YouTube) 先日も載せました。 いつの日か、この世の全てが等しく平和であるように、って歌っている。
アメイジング・グレイス(YouTube) ヘイリー・ウェステンラです。 私はもう迷わないって、決意する。
【ブログランキング】 国内旅行15位です。 十分すぎる順位です。
コメント
楽しみになりました!
Re: 楽しみになりました!
1月から、またあるんですよね。
12月は、私が見た20日が最後でした。
ほんとうにいいです。
たまに、こういうのを見ないとだめだなと思いました。
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わらび座大好き人間です。
来月、鶴姫を観に行くつもりです。
akkamui21さんのブログを拝見して、
とても楽しみになりました。
ありがとうございました!